チェルシー2人のSD(ウィンスタンリー氏&スチュワート氏)が、今夏の移籍市場とポチェッティーノ監督選定の裏側を明かす

チェルシー2人のSD(ウィンスタンリー氏&スチュワート氏)が、今夏の移籍市場とポチェッティーノ監督選定の裏側を明かす

昨シーズンからオーナーが変わったことで、多くの人事が変更されているチェルシー。その中で、スポーティングディレクターに任命されているのがポール・ウィンスタンリー氏とローレンス・スチュワート氏。

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ウィンスタンリー氏は、ブライトンで約8年間、人材発掘マネージャーと採用責任者を務め、才能ある選手の発掘&育成していくという重要な役割を果たし、昨年12月からクラブに加入。そしてスチュワート氏は、2020年6月からASモナコでテクニカルディレクターを務め、今年2月にチェルシーで仕事開始している。

そんな2人が初めてインタビューに応じ、今夏の移籍市場、マウリシオ・ポチェッティーノ氏を監督に選定した理由、今後の移籍方針などについて話をした。まずウィンスタンリー氏は、監督選定の裏側について話を始めた。

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「スチュワートと私はオーナーとじっくりと話し合い、このクラブが成功するためにはどのようなヘッドコーチが必要か、どのような資質を備えている必要があるかについて話し合ったんだ。長い時間を要したし、何人かの候補、異なる人材と何回も話し合った。クラブにとっても、ここコブハムのみんなにとっても、大きな人事だった。そして、フロントはポチェッティーノ氏が適任だと感じていたし、数カ月間彼と過ごしたことで、さらにその確信は深まった。彼の日々の取り組み方は、選手、スタッフ、ローレンスと自分、そしてオーナーに好印象を与えている」

そしてスチュワート氏は、

「人間として、必要なリーダーシップ、選手育成の能力と実績、プレミアリーグで競争し、パフォーマンスを発揮できるチーム作りという点で、適切な人物でなければならなかった。これらはすべてフロントが求めていたものだったんだ」

とオーナーが要求する全ての要素を満たしていたのがポチェッティーノ氏だったと明かした。2023年の夏の移籍市場は9月1日に閉幕したが、その間スチュワート氏、ウィンスタンリー氏、ポチェッティーノ監督たちは絶え間なくコミュニケーション取り、チームに関する作業を行っていたようだ。スチュワート氏は、

「今夏に退団した選手の数、入団した選手の数からみても大きな方向転換だった。昨季の結果を見ればうまくいっていなかったのは明らかだったから、クラブのために、チームのために達成すべき目標があった。クラブをより良い状態にするために、フロントとして変化を起こさなければならなかったし、それができたと思っている。

オーナー陣は、今いる選手たちを獲得することを支持してくれた。このチームにいる選手たちの資質は本当に素晴らしく、日々のダイナミックな動きは本当に喜ばしい。それはクラブとしての目標のひとつであり、昨シーズンの後に発展させたかったことだった。自分たちが連れてきた選手とコーチングスタッフの組み合わせは、本当に満足のいくもの。このチームには多くの才能溢れる選手がいて、あとはそれを伸ばし、成長させる必要がある」

その結果、平均年齢22歳強の新体制が誕生。ポチェッティーノ監督の下、今シーズンだけでなく数年先を戦うために作られた。ウィンスタンリー氏は、

「昨シーズンは、チームの平均年齢が高く、オーナー交代から引き継いだ契約問題を抱える選手もいた。クラブの退団を決めていた選手たちもいたから、そういったことに対処する必要が最初にあったんだ。今夏は23歳以下の選手が多く入団したが、その多くはすでにトップレベルの経験を積んでいる。この選手たちと一緒に刺激的なチームを作っていきたいし、毎日それを感じることができている。もちろん一朝一夕にはいかないのは普通だけど、監督が率いるこのグループで短期的、中期的、長期的にどのようなことができるのか、クラブの全員がワクワクしている」

2人が話しているように、今夏の移籍市場では19歳のロメオ・ラヴィアやレスリー・ウゴチュク、ディエゴ・モレイラといった若手選手の獲得にシフト。持続可能で長期的な運営を見据えながら、計17選手を獲得。その平均年齢は19・9歳となっている。

-2つ先の移籍市場を計画-

夏の移籍市場での補強金額は約4億8670万ユーロ(約768億円)で、プレミアリーグの移籍取引額の記録を樹立するなど、多くのメディアに連日話題を提供していたチェルシー。夏のマーケットが終わったばかりだが、既に来年の冬と夏に向けて計画を立てていることを、ウィンスタンリー氏が明かした。

「2つの移籍市場について前もって計画を立てている。脊椎反射的な行動は許されないからね。チーム全体、レンタルに出ている選手、アカデミーにいる選手たちにチャンスを与えられるかどうかを見極めなければならないんだ」

現在は、夏に完了した移籍ビジネスを振り返り、見直している最中。そして、将来の移籍に向けたプランニングを始めているとスチュワート氏が語る。

「このプロセスを経て、計画を立てている。そして1月が近づいたら、またいろいろと検討をする。緊急的に必要な補強はあるのか? 興味深いチャンスはないか?などとね。移籍がすべての見出しを占めるため、この分野には多くの取り組みがなされているけど、フロントとしての大きな目標のひとつは、ここコブハムで高いスキルを持ったチームを作ること。クラブが発展するにつれ、誰もがより多くのサポートや情報を必要とするようになる。チェルシーは、女子チームやアカデミーとの関係を築き、すべてのスタッフが協力し合い、ベストプラクティスを達成することを目指している。自分たちはその進歩に満足しているし、ここコブハムがトレーニングセンターとして最前線にあることが大きな目標なんだ。その面で前進し続けるために、オーナーからのサポートもある」

この夏には、女子チームのための施設改善工事が行われた。エマ・ヘイズ監督が再びチームを女子スーパーリーグのタイトルに導こうとするにあたって、今後もさらに多くのことが計画されているようだ。

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オーナー変更後、様々な『改革』を行いながら、新生チェルシーを作り上げているスタッフたち。男子チームは怪我人が多く、リーグ5戦を終えて1勝2分2敗と結果が出ていない状況。しかし、移籍市場では計画通りに進んでおり、今後もその姿勢は崩さないようだ。

サポーターは今のプロジェクトを信じて見守るしかないが…ピッチ内外は変化の時期から抜け出そうとしている。着実に前進しているチェルシー、あとは結果を出していくしかない。

Source:Chelsea FC