「コンフォートゾーンから抜け出すことは良いことだと学んだ」バシール・ハンフリーズが明かしたドイツ挑戦の理由

「コンフォートゾーンから抜け出すことは良いことだと学んだ」バシール・ハンフリーズが明かしたドイツ挑戦の理由

レディングのアカデミー出身で、U-15からチェルシーユースに加入したバシール・ハンフリーズ(20・イングランド・CB)。2020年にチェルシーと初のプロ契約を締結し、ユースカテゴリーの試合ではキャプテンを務めていた。

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2022年末には、ディフェンス陣に負傷が続いたため、トップチームで頻繁にトレーニングを行い、2023年1月のマンチェスターシティ(FAカップ)戦でトップデビュー。同年1月下旬には、ドイツ2部のパーダーボルンにシーズン終了までのレンタル移籍をし、公式戦13試合に出場するなど順調に成長している。

そんな彼が、マンチェスターシティ戦で感じたこと、海外に移籍した理由、ドイツでの経験と成長できた部分、グレアム・ポッター元監督への感謝などについて話をした。

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「まずチェルシーのユニフォームで、トップチームデビューしたのは、信じられないような経験だったね。試合の結果(0対4で敗戦)は思った通りにはならなかったけど、FAカップでマンチェスターシティのようなチーム相手にチェルシーの一員としてプレーできたことは、とても幸せなことで、一生忘れることのできない試合となったよ。チームには質の高い選手がたくさんいて、特に自分のポジション(CB)は選手層が厚いから、あの日プレーできるとは思っていなかった。いつチャンスが来るかわからないから、常に準備をしておくことの大切さを改めて実感したよ。

そして、デビューさせてくれたグレアム・ポッターとそのスタッフにも感謝したい。チームにとって厳しい時期であり、若いセンターバックを投入するのはリスクもあったと思う。だけど、それでも彼らはリスクを冒して自分を信頼してくれたんだ」

とトップチームデビューを振り返った。そして、その3週間後には、初の海外移籍(ドイツ・パーダーボルン)を決意する。

「(チェルシーユースで指導に当たってくれていた)マーク・ロビンソン、ジェームス・シモンズ、ジャック・メシュアとシーズン初めから一緒に仕事ができたことは、最終的なレンタル移籍への準備という意味で自分にとって非常に大きかったんだ。彼らの主な理念は、グループ全体においてモチベーションと粘り強さを構築することにあった。まず人間として、そして選手として自分たちを気にかけてくれた。だから、チームが家族のようにお互いのために努力を惜しまず、ピッチの上でのプレーも良くなっていった。結果は完璧ではなかったけど、シーズン当初から長い道のりを歩んできたから、貴重な経験となった。

そして今回のレンタル移籍では、コンフォートゾーン(ストレスのない居心地の良い環境や精神状態)から抜け出すことは良いことだと学んだよ。ドイツに行ったことは、自分にとって間違いなくそれだった。新しい文化、新しい環境、異なる言語に適応するのは難しいことだけど、それは間違いなく価値があることで、この経験全体から多くのことを学んだ気がする。チェルシーのユース監督(マーク・ロビンソン)はいつも、『成長は自分のコンフォートゾーンの外に出ることからしか生まれない』と言っていたけど、自分も100%同意しているんだ。

ドイツのサッカー文化では選手はエリートとみなされ、チームの成績がどんなに悪くてもファンは集まって、チャントやドラミングが鳴り止まない。アウェイの試合でも多くのスタジアムはいつも満員で、普段あまりファンのいないU-21とは大きな違いだった。大観衆の前でプレーをすることは、他の多くのことでは得られない感覚を与えてくれるし、爽快感がある。自分はエネルギッシュなタイプだから、観客とたくさん関わりたいんだ。自分のプレーを見るためにファンが集まってくれているというのは、とてもシュールな事。だけど、それを当たり前だと思わずに、ただただ吸収するようにしていた。パーダーボルンはファンとの関わりをとても大切にしていたから、練習場や試合後にファンと会って話すことができたのは良いことだったね」

ユースカテゴリーの試合では味わえないスタジアムの雰囲気など、貴重な経験を積んだと話したハンフリーズ。滞在中には、ドイツ語を習得するために時間を割いたり、友人や家族が応援に駆けつけてくれたことが、パフォーマンスに良い影響を与えたと明かしてくれた。

「パーダーボルンではすぐに自分を高く評価してくれて、選手として成長し進歩するのを助けたいと、はっきりと示してくれたから、とても感謝している。監督は改善しなければならない部分や、自分の長所をより良くする方法について、常にストレートに教えてくれた。若い選手には、自分のコンフォートゾーンから抜け出すことがプロへの道になるかもしれないから、自分と同じステップをぜひ勧めたいね」

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ドイツでのパフォーマンスが良かったことで、現在ではチャンピオンシップやヨーロッパの数クラブが獲得に関心を示していると報じられているハンフリーズ。

チェルシーとの契約は2024年夏までとなっているが、1年間契約を延長できるオプションがあることから、クラブはそれを行使する予定だという。コンフォートゾーンを抜け出し、一皮むけた若きセンターバック。今後、さらなる活躍が期待できそうだ。

Source:Chelsea FC、Evening Standard