チルウェルの復活ゴールで息を吹き返したチェルシーがウエストハムに逆転勝利。しかしトゥヘル監督が不安視する守備の改善は必須

チルウェルの復活ゴールで息を吹き返したチェルシーがウエストハムに逆転勝利。しかしトゥヘル監督が不安視する守備の改善は必須

2022年9月3日にプレミアリーグ2022-23第6節が行われ、チェルシーはホームでウエストハムユナイテッドと対戦。結果は2対1で、チェルシーが勝利。今シーズン3勝目を挙げた。

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スターティングメンバーは、メンディ、フォファナ、シウバ、クリバリ、ジェームズ、ギャラガー、ロフタスチーク、コバチッチ、ククレジャ、プリシッチ、スターリングで、フォーメーションは3-5-2。

サブメンバーは、ケパ、アスピリクエタ、チルウェル、チャロバー、ジョルジーニョ、マウント、ツィエク、ブロヤ、ハヴァーツ。

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ここまで、リーグ戦2勝1分2敗で10位というポジションにいたチェルシー。前節は、サウサンプトン相手に先制したものの、あっさりと逆転を許してしまい敗北を喫していた。今節は、新加入となったフォファナがチェルシーで初先発を飾った。

試合は序盤からチェルシーが攻めて、ウエストハムが自陣で守りを固め、カウンターを狙うという展開に。チェルシーは中盤を5枚にしていたことで、ボール支配率は70パーセントと高かったが、肝心の攻撃は上手く機能せず、枠内シュート0本。また、コーナーキックからのチャンスが8回もあったが、それも活かしきれず、前半をスコアレスドローで終える。

後半も前半と変わらず、チェルシーがボールを保持し、ウエストハムがカウンターを狙う試合展開になった。そんな中、均衡を破ったのはウエストハム。後半18分に左コーナーキックからゴール前が混戦になり、メンディが弾いたこぼれ球をゴールエリア左のデクラン・ライスが折り返すと、最後はアントニオが押し込み、セットプレーから失点を許してしまう。

得点が必要になったチェルシーは、後半27分にチルウェルとハヴァーツを投入。結果的には、この交代が『吉』と出ることになった。

後半31分には、ボックス左でシウバからの浮き球のパスに反応して、ペナルティエリアに侵入していたチルウェルが、頭で何とかコントロールしてゴール方向に体勢を作り、間合いを詰めてきた相手ゴールキーパーの股間を通す技ありのシュートを披露し、同点に追いついた。

そして後半43分には、左サイド深くからチルウェルが入れたクロスに、正面に走り込んでいたハヴァーツがダイレクトで合わせて逆転。今シーズン初ゴールが貴重な勝ち越し弾となった。

しかし後半45分には、ジェームズの不用意なヘディングでのバックパスからピンチを招き、ゴール前に抜け出したジャロッド・ボーウェンがメンディと交錯。こぼれたボールに反応したマクスウェル・コルネがシュートを放ち、ゴールイン。ただ、このゴールに関してVARの介入が入ると、ボーウェンのメンディとの接触がアフターチャージと判断され、得点無効。このまま試合は終了し、チェルシーが苦しみながらも貴重な勝ち点3を獲得した。試合後トゥヘル監督は、

「今日、シーズンを再スタートさせたかった。ホームゲームでベンチから指示を送り、最高のレベルでプレーするために必要な信念や自信を取り戻せたらと思っていたんだ。チームは、おそらく十分に自信と信念を持ってプレーをしていなかったと思う。この前の結果(サウサンプトン戦)を見れば理解できる。自分は、選手たちが自分自身を信じ続けること、そしてリズムをつかむこと、数的有利な状況を生み出す方法を伝えようとした。ウエストハムは、自分たちのサッカーを非常に上手くするから、魅力的な試合をするのは難しかった。ただ、この状況を好転させるには1点リードされて、これ以上失うものがないくらいにする必要があったかもしれないね」

と開幕から中々調子の上がらなかったチームが、自信を取り戻しつつあると感じているようだ。また、途中投入から1ゴール・1アシストを記録し、大きく勝利に貢献したチルウェルについては、

「私の意見では、彼はリズムに欠け、試合に対する良い感覚に欠けている。これは、トレーニングを見ていてもわかることなんだ。選手はいつも自分は準備ができていると思っているけど、監督から見ると、まだ足りないものがある。ただ彼はエヴァートン戦で先発し、サウサンプトン戦でも出場し、今日も出場して、大きなインパクトを与えてくれたから、とても嬉しい。

ウイングバックのポジションは、彼のベストポジションだと思っている。多くのエネルギーを与えてくれるし、走ってボールを届けてくれるからね。彼が感触を取り戻し、ピッチに戻り、決定的な存在になることが重要なんだ」

怪我で半年以上も試合から離れていたチルウェルだが、確実に調子を上げてきており、今後も試合経験を積んでいけば、トップフォームに戻る日もそう遠くはないはずだ。ただ失点のシーンについては、トゥヘル監督もかなり落胆している様子だった。

「不思議なもので、練習では多くの時間を使っているのに、あまり変化が起きていないんだ。細部やセットアップなどに、いつもよりも多く時間をかけているのにね。もしかしたら、それは単なる迷いなのかもしれないし、スキルが足りないのかもしれない。フォファナは、そういう意味でも大きな戦力となるだろう。

今日は、いつもならファーストコンタクトに最適なハヴァーツがピッチにいなかったこともあったが、セットプレーでは相手を追えず、そして同じことを反復するのに苦労し、またセットプレーから失点してしまった。それについては対策を講じているところだよ」

と5試合連続で失点している守備の立て直しが急務だと明かした。最後に、メンディの怪我についても言及。

「とても痛がっていたから、様子を見る必要がある。そして彼は今、少しアンラッキーだと思う。トレーニング中は素晴らしく、普段はとても冷静だが、少し運に見放されていることを自覚していて、上手くいかない時期なんだ。ただ彼は何事にも挑戦し、とても集中している。これからもみんなでサポートしていく」

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来週からは、CLのグループステージ(ディナモザグレブ戦)も始まり、過密日程になっていくチェルシー。攻守共に改善が必要な中、新戦力を加えたトゥヘル監督が、どこまで修正していけるのかに注目したい。

・チルウェルは2021年10月に行われたノリッジシティ戦以来となる得点

・チェルシーはホームでのウエストハム戦で相性が良く、直近17試合のリーグ戦で12勝目(4分1敗)

・チェルシーは5試合連続で失点