大きな怪我を乗り越え760日ぶりにピッチ戻ってきたムソンダ。完全復帰に向けて大きな一歩を踏み出す

大きな怪我を乗り越え760日ぶりにピッチ戻ってきたムソンダ。完全復帰に向けて大きな一歩を踏み出す

大きな怪我から奇跡の復活を遂げようとしている選手がいる。それは、かつて『世界最高クラスの若手アタッカー』と称されたチャーリー・ムソンダ(25・ベルギー)だ。

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ザンビア代表として活躍した父を持つムソンダは、2012年にアンデルレヒトからチェルシーに移籍し、2013年10月にプロ契約を締結。2014年からはプレミアリーグ2で出場の機会を得て、活躍の場を広げていった。

2016年1月には、ローンでスペインのベティスに移籍し24試合に出場。2017-18シーズンではアントニオ・コンテ監督のもと、コミュニティシールドのアーセナル戦やリーグ開幕戦となったバーンリー戦において、途中交代で出場していた。そして、2017年9月に行われたカラバオカップ3回戦のノッティンガムフォレスト戦で先発しゴールを決めるなど、着実に成長していった。

しかし、2018年に彼の膝が悲鳴を上げた。その前にも膝を何度か痛めて欠場するケースはあったものの短い期間で復帰していたが、その怪我で約9カ月間サッカーから離れることに。さらに、その3カ月後には膝の手術を行い、長期間プレーをすることができない状態に陥っていた。

2020年10月には自身のインスタグラムで、その状況を伝えていた。

「プロキャリアをスタートさせて4年、クラブ(チェルシー)で最後にプレーをしてから3年が経つ。この4年間で、前十字靭帯を2回負傷してしまった。痛みと苦痛、それ以外に何もない。医師は手術を受ければ(選手として)終わるだろうと言った。『登ることが不可能な山だ』ともね」

再びピッチに立つことができる確率は、約20パーセント程度という報道もあったほど、彼のキャリアは危機的な状態だった。しかし、ムソンダはピッチに復帰するため、懸命にトレーニングに励んだ。

「(復帰に向け努力する自分の姿は)夢を持っているのに怪我をしてしまったり、大きな挫折を経験したりしたすべての子供たちのためにもなると思う。諦めたりはしない。もう一度フットボールをするために、乗り越えられないと言われた山を毎日登り続けるよ。その日が来るまで、不可能だとされた復帰を信じてトレーニングを続けていくんだ」

その想いを持ち続けたムソンダは、先日行われたプレミアリーグ2のリヴァプール戦(2021年9月25日)に出場、実に760日ぶりにピッチに戻ることができた。そして、次戦のブラックバーン戦にも先発出場するなど、完全復帰に向けて大きな一歩を踏み出した。

チェルシーにおいて、トップチームでの出場はわずか7回。また、今シーズンの登録メンバーから外れており、チェルシーでの活躍は難しいかもしれない。ただ、復帰が困難だといわれたムソンダは、その大きな壁を乗り越えピッチに戻ってきた。その『精神力』は、これからのサッカーキャリアにおいて必ず活かされる。