敵地ワトフォードで辛勝したチェルシー。中盤での起用が難しいサウールを左ウイングバックで起用する可能性をトゥヘル監督が示唆
2021年12月1日(日本時間2日)に開催されたプレミアリーグ第14節、ワトフォード対チェルシー(アウェイ・ヴィカレッジロード)は、1対2(ワトフォード:デニス、チェルシー:マウント、ツィエク)でチェルシーが辛勝した。
チェルシーのスターティングメンバーは、メンディ、チャロバー(ツィエク、後半15分〜)、クリステンセン、リュディガー、アスピリクエタ(c)(ルカク、後半24分〜)、ロフタスチーク、サウール(シウバ、後半開始〜)、アロンソ、ツィエク、プリシッチ、ハヴァーツで、フォーメーションは3-4-3。なおジェームズ、コバチッチ、カンテ、チルウェル(※前十字靭帯の怪我により、現在のところ6週間離脱予定)は怪我のため欠場となった。
試合はホームのワトフォードが前線からプレスを行い、ペースを握る展開となった。前半5分にはキコのアーリークロスがペドロと競ったアスピリクエタに当たりゴール左隅へ向かうが、メンディがセーブ。サウール&ロフタスチークの中盤でボールを保持できず、前線と守備陣が分断されるような形になり、守り一辺倒になっていた。
そのような中、前半8分にマジーナが左腿を痛めてピッチ上で治療を受け試合が一時中断した際に、観客席で緊急の治療を必要とするサポーターの方がおり、両クラブの医療チームが対応。試合は一時中断することになった。試合は約30分中断されたが、幸いにもサポーターの方は、病院に向かう前に安定した状態になったということが伝えられ、前半12分から再開された。
再開後もチェルシーは、守備にまわる時間が長く続いたが、前半19分にマウントがボックス右からシュートを放つチャンスがきたが、これはポストに直撃。そして、前半29分にチェルシーにゴールが生まれる。リュディガーからのフィードに反応したアロンソが中へと折り返し、ハヴァーツがつなぐと、最後はマウントがゴール左隅を狙い先制ゴールを決める。
得点を取ったことで、チェルシーペースになると思われたが、ワトフォードは崩れず、前半43分にはハーフウェイライン付近でロフタスチークがシソコからボールを奪われ、フリーのデニスへラストパスを供給。ボックス内でリュディガーの股間を抜くシュートを打たれ、同点で前半が終了した。
中盤が機能していないと感じていたトゥヘル監督は、サウールを下げシウバを投入。チャロバーを中盤の底として起用する決断を下した。この起用が功を奏し、試合はチェルシーペースになるが、後半13分には、ワトフォードにチャンスが訪れる。中盤でのボール奪取から背後を完璧に取ったクレバリーにスルーパスが通るが、ゴールエリア外に飛び出したメンディがスライディングをし、何とかピンチを阻止。ただ、このプレーの流れでチャロバーが負傷してしまい、後半15分にツィエクを投入。また、その9分後にはアスピリクエタとルカクが交代し、攻撃的な布陣で得点を狙いに行った。
すると後半27分に、リュディガーからのフィードを左サイドのアロンソがヘディングでスペースに流し、これに反応したマウントがグラウンダーのクロスを供給。ルカクがニアに動き、その空いた中央のスペースに走り込んだツィエクが左足を振り抜きゴール、1対2とリードした。
後半アディショナルタイムには、ボックス付近でワトフォードにフリーキックを与え、それをクツカがシュート。枠に飛ばされるが、メンディがはじき出し試合終了。多くの怪我人を抱え、この試合でもチャロバーが負傷するなど厳しい状況の中だったが、敵地で貴重な勝ち点3を持ち帰ることに成功した。トゥヘル監督は、
「この試合に勝てたのは幸運だったといえるだろうね。私たちはとてもずさんだった。非常に珍しいパフォーマンスで、準備ができていなかった。ファーストボールにも、プレッシャーにも、セカンドボールにもうまく対応できなかったんだ。中断の間とハーフタイムに話し合う機会があった。ビルドアップに苦しんでいたのは明らかだったから、基本的なことをしっかりと行い、メンタリティを変える必要があった。マウントのゴール後も、私たちが主導権を握れていたわけではなく、同点にされてしまった。バーンリー戦とマンチェスターユナイテッド戦ではポイントを失ったので、攻撃的な変更で勇気を与えようとした。勝ち点3を得たことは非常に重要だったし、ツィエクのゴールも嬉しかった」
と何もかもが上手くいっていなかったが、勝利を目指しツィエクとルカクを投入したと話した。またリーグ戦2試合目の先発出場となったサウールだが、その2試合とも前半終了後に交代するなど、厳しい状況が続いている。
「私たちには2つの選択肢があった。イエローカードをもらっていたので、彼を交代するか。もう1つはアロンソを下げて、サウールをウイングバックにすることだった。これは試合前から考えていたことで、アロンソに何かあればそうするつもりだった。しかし、新しいポジションを試すのに正しい試合ではなかった。少しフォーメーションを変えて、組織力の高いシウバを投入するために代えたのがサウールだった。そして、フィジカルの強いチャロバーを6番のポジションにした。戦術的な交代だったんだ」
と明かした。ただ今回のパフォーマンスのままであれば、サウールを中盤で起用する可能性は低くなったと感じた。チルウェルが負傷している中、今後は左ウイングバックのポジションで起用する可能性をトゥヘル監督は考えているようだ。
また、怪我で負傷交代したチャロバーだが、次戦のウエストハムユナイテッド戦(12月4日)に間に合うかは検査を受けてからの結果となる。コバチッチ、カンテが怪我、そしてジョルジーニョもワトフォード戦の出場を見合わせており、チャロバーまで失うことになると中盤をできる選手がロフタスチークのみとなる。バークリーやマウントを一列下げる可能性もあるが、トゥヘル監督も頭を悩ますはず。12月は、あと8試合が予定されているチェルシー。これ以上怪我人が出ないことを祈るしかない。
・マウントはトゥヘル監督就任後、公式戦10得点目を記録。一番得点を取っている選手に
・チェルシーはリーグ戦のアウェイで無敗を継続中(6勝1分)
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