クラブワールドカップ決勝で見せた主将セサル・アスピリクエタの‟おとり作戦”。その内容は?
「2012年に来たときは、こんな長い旅になるなんて想像もつかなかったよ。ピッチ内外でチェルシーのキャプテンであることを本当に誇りに思う。このタイトルは、私たちの歴史上初めてのこと、とても気分が良いんだ」
とパルメイラスとの激闘を制し、クラブワールドカップのトロフィーを手にした、チェルシーのキャプテンを務めるセサル・アスピリクエタが喜びのコメントを残した。
チェルシーに在籍し約10年が経過したアスピリクエタは、ここまで公式戦459試合に出場し、15ゴール、56アシストを記録。センターバック、左右のサイドバックもこなすユーティリティプレイヤーとして、チェルシーのディフェンスラインを支えている。
獲得タイトルは、プレミアリーグ2回(2014-15、2016-17)、ヨーロッパリーグ2回(2012-13、2018-19)、FAカップ1回(2017-18)、リーグカップ1回(2014-15)、チャンピオンズリーグ1回 (2020-2021)、スーパーカップ(2021)1回、そして今回クラブワールドカップを優勝したことで、チェルシーで獲得可能なタイトルをほぼすべてを手中に収めた唯一の選手となった。
数々の栄光を手にしたアスピリクエタだが、今回のクラブワールドカップでも重要な仕事を成し遂げていた。1対1で迎えた延長後半10分。ゴール前の混戦から彼がシュートを打つと、ルアンの腕付近に直撃。VARの結果、このプレーがハンドと判断されPKを獲得する。
その時、アスピリクエタがすぐにボールを持って、ペナルティエリアに向かったことで、彼がキッカーを務めるかのように見えた。しかし、これはキッカーであるハヴァーツを守るための作戦で、PK前の喧騒で集中を乱されないように、“おとり”となったと試合後に明かしている。
「相手がどのようにキッカーにプレッシャーをかけに来るか分かっていたから、戦術としてボールを拾った。もちろんハヴァーツが蹴ることを知っていたので、彼に対するプレッシャーを取り除くための行動だった。相手(パルメイラスの選手)の言うことを全て聞いて待っていた。最も重要なことだし、それが功を奏したんだと思う。うまくいって良かったよ」
と優勝を呼び込む決勝点の中に、キャプテンの策略がめぐらされていた事が分かった。そして、その策が見事に成功し、ハヴァーツは冷静に相手ゴールキーパーの逆を突いてゴール。クラブ史上初のタイトルを獲得した。
「本当に誇らしい。ここに来るまでには長い道のりがあった。このトロフィーを獲得することがいかに難しいか分かっているからこそ、誇りを持ち、喜ぶべき瞬間なんだ。2012年はとても辛い思いをしたし、戻ってくるまでに9年以上かかった。2012年は優勝を逃したが、もう二度と優勝を逃したくなかった。ひとつのメダルは金色で、もう一つは銀色。同じ色のメダルで帰ってこないようにと思っていたよ」
と現在のチェルシーの中で、唯一9年前の雪辱を経験したアスピリクエタだからこそ、今回のタイトルに懸ける思いは人一倍強かったと語った。
彼とチェルシーとの契約は2022年6月30日まで。スペインのバルセロナに移籍するという噂も出ているが、チームのキャプテンとして、“1年でも多くチェルシーに在籍してもらいたい”と願うサポーターは多くいる。来シーズンもブルーのユニフォームを着て、スタンフォードブリッジで活躍する姿をみせてほしい。
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